映画館派の映画好きから毎年、GW前の脅威として見られている『劇場版名探偵コナン』。
国民的アニメの劇場版でしょ
と、スルーしている映画好きにもおすすめしたい!という記事です。
劇場作品として見たコナンの良いところを挙げていきたいと思います。
エンタメ映画に求める要素がバランス良く入っている
まず、なんといってもGW大作に相応しいエンタメ性。
ミステリ、アクション、冒険、ラブコメ、濃いキャラクター、ブロマンス、戦うヒロイン……。
エンタメを構成する多彩な要素が2時間に凝縮。
とくに、爆発、カーチェイス、ガンアクション、ステゴロ……アクション映画に求められる派手な要素は一通り揃っています。毎年変わるメインキャラによってその傾向が異なるのも見所です。
洋画のアクションやサスペンス、ノワールが好きな方なら、その構成や画面作りに馴染み深いものを感じ取る方もいるんじゃないかな。
こういうのに詳しい方の目線から見た感想、聞きたすぎる。
そして、探偵ものらしく殺人事件を扱っていますが、ショッキングな描写はかなり抑えられています。
アニメなので生々しくないというのも大きい。
映倫区分G!お子様含め誰でも鑑賞OK!ここもGW大作としてえらいポイントです。
原作者曰く“殺人ラブコメ”とされているだけあって、恋愛要素もお約束のひとつですが、お色気の類はほぼナシ。
コナンのラブコメ要素は犯人の動機とリンクしていたり、事件のテーマに沿った心情描写として機能している大事な要素です。恋愛要素がミステリやアクションを楽しむ際のノイズになることを気にしている人は安心して良いと思います。
また、近年ですと魅力的な映画オリジナルキャラクターの活躍や、既存キャラクターの新たな一面が見られることでも注目されています。映画、とくに大衆向け娯楽作品をよく観る方ならピンとくる要素を上手く取り入れていることを感じてもらえるはず。男の友情とか、オタク人気の出る映画オリジナルキャラが毎年1人はいるとか、やたらかっこいいおじさん達とか……。
シリーズの入口にちょうど良い
原作は100冊越え、アニメも膨大な話数がある名探偵コナン。劇場版も毎年公開されており、今年で28作目。
気軽に触れてみるには躊躇する量……。
ですが!この中で単独でも楽しめるのが劇場版。毎年どこの映画館でもやってるし、過去作はサブスクにあります。
一作完結・オリジナルストーリー。なので、基本的に予習不要です。
基本的な設定とあらすじ、主要キャラクターの紹介はOPでサクッと済ませてくれます。
近年は予習が必要だと主張するファンも増えてきていますが、劇場版を深く味わうために推奨しているだけです。
コアな原作ファンを唸らせる要素もありつつ、初見さんでも単体で楽しめる。
それが劇場版名探偵コナンの良いところ。
初見さんなら、鑑賞後にもっと知りたいと思ってから原作やアニメを見れば大丈夫です。
名探偵コナンのお約束がわかる
国民的漫画のひとつである『名探偵コナン』。
小さくなった名探偵、黒の組織、少年探偵団、「見た目は子供、頭脳は大人」「真実はいつもひとつ」等、印象的な設定やセリフも有名です。様々なところでパロディやネタ、比喩に使われるので聞いた事がある人も多いと思います。
これ、ちゃんと知りたくはありませんか?
今年の映画にも、これらのお約束&解説は盛り込まれています。
最新作からで大丈夫!「映画だけは毎年観ている」という人も少なくありません。
コナンのお約束を知っているだけで、オタクとしての語彙やパロディを楽しむための知識がめっちゃ増えます。
映画好き……とくに、アニメや邦画をよく見る、という方は役に立つ時が来るかも!?
今年の映画『隻眼の残像』について
予習が必要と言われている理由
今回の事件は原作59巻の『風林火山』の関連ストーリー。
この『風林火山』で少し触れられた、大和警部の過去にまつわる事件が今回の『隻眼の残像』です。
初めて見るなら、
- 長野県警の3人(大和警部・上原刑事・諸伏警部)は幼馴染
- 上原刑事は大和警部のことが好き。大和警部もまんざらではないようだが鈍感なのか進展しない
- 大和警部が行方不明の間、上原刑事は恩師の死の謎を解くために好きでもない相手と結婚している
- 諸伏警部の弟は公安所属の警察官だったが潜入捜査中に殉職している
この辺りは頭の片隅に入れておくとスムーズかな……と思いますが、『風林火山』をほぼ忘れていた私も楽しめたので心配はいらないかと。結局気になって鑑賞後に読み返しましたが……。
各要素の配分
アクション
雪山でのガンアクションが印象的。終盤の大掛かりな対決シーンもお約束通り。
「なんで生きてんの!?」と言いたくなるようなシーンもあり、アクション映画の登場人物特有の超人的なタフさで楽しませてくれます。
お約束のひとつである巨大建造物等の大規模な破壊は控えめですが、今年のテーマを考えるとこれでよかったと思います。
なお、近頃ネットでネタにされている、“事件の舞台になる万博会場”は今年の映画に何の関係もありません。
ラブコメ
殺人ラブコメと言われてるだけあって今年も気合い入ってます。
今回フィーチャーされるカップルは長野県警の大和警部と上原刑事。
幼馴染故のモダモダと、大人の恋愛ならではのすれ違いが見どころです。
大和警部を好いていながら、彼が死んだと思い込んで他の人と結婚するも旦那を亡くした上原刑事。
彼女からの好意に気づいているのかいないのか、そんな彼女に思うところがありそうな大和警部。
二人とも大人になってしまったからこそ進展しない……そんなほろ苦さを感じる二人です。
ミステリ
序盤はかなりミステリ寄りの構成。ほぼ2時間サスペンスと同じ感覚で見られます。
ただ、コナン達と一緒に推理を楽しむなら、シンキングタイムがほぼないことに留意されたし。
終盤はコナン映画のお約束であるアクションが入るので、しっとりした作風が好きな人には合わないかも?
サブキャラ
今年もクセの強い映画オリジナルキャラ達が登場。彼らは年によって容疑者候補(ミスリード)だったり、捜査を撹乱していくキャラだったり、はたまた真犯人だったりします。
そのなかから毎年1人はオタクの間で人気が出ている印象です。
今年は長谷部といういけすかない検事に沼る人が続出。
その正体はネタバレとなるためぜひ劇場へ。
なお、今年は容疑者候補やミスリードも含め、登場人物周りに無駄な要素がないのが印象的でした。
第一印象が「なんだコイツ」だったキャラも、終盤で足りないピースを埋めてくれたり、重要なテーマを背負っていたり。全員が何かしら抱えていたように感じます。
ちなみに、映画オリジナルキャラクターの正体は担当声優で察しがついてしまうことも。声優に詳しい方は要注意。
また、今年のメインである長野県警と毛利小五郎の人間性が窺える描写が多く、既存キャラの魅力を改めて感じることができました。
作画
劇場版というだけあって綺麗。
原作者の青山先生が原画を担当されている箇所(通称:青山原画)もあります。コアなファンはこの“青山原画”を探しながら鑑賞しているそうです。よくわかるな。
IMAXでも鑑賞しましたが、画角が変わる訳ではなさそうでした。
ただ、虹色に輝くレーザーやガンアクション等、綺麗な映像が楽しめるスクリーンや通常よりも迫力のある音響が活きる作品だと思います。
元々シリーズが好きな方ならIMAXでもぜひ。
シリーズ初見さんがお試し感覚で観るなら通常スクリーンで十分かな?
まとめ
劇場版名探偵コナンはGWの風物詩といってもいい作品です。コナン好きにとっては年1のお祭りです。
映画好きからすると他の作品に充てられるスクリーンが減るので複雑な気持ちもあるかと思いますが、それだけ大衆を映画館に呼び込む力がある作品なのです。それは、再上映以外で入場者特典を配らずに100億稼いでいることからも明らかです。それはそれとして周回しているオタクもいるけど。
フラットな気持ちで観てくれたら、コナンも映画も好きなオタクとしては嬉しいなって思います。
なお、アニメ映画の大作なだけあって、回数は減ってしまいますがここ数年は7月の終わり頃までは上映しています。
毎年地上波もやるし、サブスクにも入りますが、映画ならではのエンタメ性と迫力も持ち合わせているシリーズです。ぜひ、劇場に足を運んで体感してほしいと思います。