女児向けアニメ&筐体ゲームシリーズ・プリティーシリーズの最新作、『ひみつのアイプリ』。
前作・『ワッチャプリマジ!』のアニメ終了から1年程度のブランクを経て始動したこの作品は、プリティーシリーズに初めて触れる子どもたちを中心に大ヒットしています。
しかし、今年の3月で『ひみつのアイプリ』は終了し、『おねがいアイプリ』へのリニューアルが発表されました。
たった2年で終了となってしまいますが、コンテンツとしては新しい試みも多く、運営の気合いを感じました。
ただ、プリティーシリーズをずっと追いかけてきた者としては、良くも悪くも思うところがいろいろある作品でもあります。実際、大人のファンの間では評価が分かれており、物議を醸しています。
この記事では、『プリパラ』から10年間プリティーシリーズを追いかけてきたオタクとして、『ひみつのアイプリ』のコンテンツについて語っていきます。
私個人の考えをざっくりまとめると、「良いところはあるけどオタクとしては物足りない!これはちょっと擁護できないなってこともある」って感じです。
当然辛口な評価もありますので、批判的な意見を目にしたくない方はブラウザバックでお願いします。

アニメ
令和のキッズアニメとしては良作
親が子どもに見せたいアニメ、って感じ。
小中学生でありがちな対人関係の揉め事、思春期故の不安定さ、同性愛や“かわいいもの”が好きな男子等、今の子どもたちを取り巻く問題を嫌味なく取り入れているところは好印象。
女児アニメならではのキラキラ補正は入ってるけど、「こんな中学生いそうだな」っていうリアリティを感じます。
一話完結で本筋の進みも緩やかなので、日曜の朝になんとなく見るアニメとして見やすく作られている気がします。……と言いつつ、私は配信で一気見しておりますが。
ライブシーンがとにかく多い
巷では尺稼ぎしてない?と言われるほど。
使い回すことで製作コストを抑えられる、ちびっこの興味を惹きやすく販促にもなるって考えたら効率が良いのはわかる。わかるけど〜……普段からライブが多すぎて、ライブ大盤振る舞いであるはずのコンテスト回も変わり映えしない印象になってしまった気がします。
本筋が進みそうだな〜と思った回もライブ総集編みたいになっててなんだかなって感じ。
ライブによる尺稼ぎを減らし、1期・2期合わせて4クールに収めていたらTVアニメとしての評価は変わっていたと思います。販促アニメなので無理があるのはわかりますが、そのくらい内容が薄いって言えば伝わるかな。
あと、これはCG制作が(乙部さん等一部のスタッフは協力しているものの)タツノコから変わったのが大きいと思いますが、ファンサービス的なライブシーンがなくなりましたね。チィとつむぎのデュオとか見たかったよ〜……。
ただ、過去作において“販促の予定になかったキャラのライブシーン”って、タツノコCG班が「実際に使うかわからないけど作っておきました」というCGモデルや素材があるから実現しているんですよね。(CGディレクター・乙部さんのTwitterでこうした裏話は見ることができます)
仕事(正式に発注が来たもの)と同時進行で自主的に作る、というのは制作体制が変わった後に強いることができるとは思えません。そう考えると、CGライブのバリエーションが少ないことは仕方ないのかも。
販促要素の扱いに困ってる印象
アイプリ達にはドラマがあっても、“ライブ”そのものにドラマがないというか、うまく日常パートと紐付けできてない感じが否めない。
リング編はとくに感じたのですが、コーデ関係ないところで成長イベントが起こってるから、いつの間にか新バズリウムチェンジ対応の新コーデを手に入れてライブしてる状態になってるんですよね。そこは新コーデもリング姫からのご褒美でいいだろ。
1期はグランプリコーデに意思があって、アイプリを試したりしてきたのに……。
過去作だとプリパラ2期・3期とプリチャン1期も販促の都合に困っていたのでは?という印象があるのですが、この3作と比べるとアイプリはちょっとフワッとしすぎな気がする。
販促の都合も作劇に活かそうとシビアな展開を試みたプリパラと、逆にリズパラよりゆるいノリで“そういうもん”として駆け抜けたプリチャン1期。
販促の都合でスポットが当たるキャラが変わるのは仕方ないし、大会の要素があるのもわかるんですけど。
アイプリはそれを拾おうとして中途半端になってる気がします。この曇らせいる?みたいな。
また、世界観の掘り下げをしないために、アイプリ達の努力と成果があの世界においてどれほどの価値を持っているのかが伝わりにくくなっていたように思います。
それなら最初からゆるいアニメとしてシリアスな展開を減らし、ご都合ギャグで通してしまうのも手だったのではないかと思います。(とくにプリチャンはこの匙加減が上手かった)
プリティーシリーズとして見ると物足りない
薄めたスープ飲んでるみたい!
キッズアニメとしては問題ないけどプリティーシリーズとしては薄すぎる……!
アイプリバースそのものなつむぎとか、わこをスカウトしたクローバー家とか、管理運営をしているプリバース社とか、プリティーシリーズ的に話を広げられそうな要素はあるのにあんまり掘り下げしてないですよね!?
歴代のプリティーシリーズの設定を抽出して薄めたらアイプリバースになるって感じ。
アイプリバース
仮想空間なのでプリパラに近い。でもプリバース社なる組織が運営している=人の手が入ってるあたりはプリマジ(オメガコーポレーション)やキンプリ(十王院HD)っぽい。
アイプリブレス
アイプリになりたい気持ちがあれば届く。勝手に届くのはプリチケっぽいが、誰にでも届くものではないのが闇。
クローバー家
アイプリ名門。才能あるアイプリを養子にスカウトしているらしい。プリリズの阿世知家や法月家みたいな感じ?
アイプリ個人のバックボーンに関しても、なにかしら設定はありそうだけど深くは触れてないな……って感じます。
RLのように裏設定をほのめかす感じもないので、考察や二次創作による補完もしづらい印象。
結局アイプリって何なんだよ!?
大人が運営に関わっているものの、アイプリ達に対してかなり放任しているように見えます。職業アイドルではなさそう。でも、クローバー家の存在を考えると、プリチャンやプリパラほど子ども達の世界で完結しているわけでもなさそう。クラブ活動や習い事みたいな感じなのでしょうか? いわゆるプロがいるのかも不明。
プリマジスタは中学生限定、プリズムスタァはアスリートでその先の進路も用意されていることが伺えますが、アイプリはそういった話が全然ない。
職業アイドルや配信(バーチャル)アイドルとの違いくらいは示してほしかったな……と思います。
ニチアサとしては正解?
ライブ使い回しが多いこと、話や設定が薄味なことを私はネガティブに捉えましたが、ニチアサとしては正解じゃないか?とも考えています。
アイプリは女児向け販促アニメであり、メインターゲットは子どもとその親です。
日曜日、なんとなくTVをつけたらやっているアニメとしては、このくらいの薄さの方がライト層も見やすいのでは、と思います。
女児とその親をターゲットに、見やすくてしっかり販促もできるアニメを作る、という意図があるのならば成功していると言えます。
ただ、プリティーシリーズの“子どもはもちろん大人も楽しめる”良さは損なわれているな、と感じます。
オタクの扱いも上手いプリティーシリーズだからこそ、思い切った方向転換に戸惑いました。
キャラクター
主人公に供給偏りすぎじゃない?
バズリウムコーデと楽曲のリソースがひまりとみつきにばかり振られている。
主人公だし女児は喜ぶかもしれないけど、主人公優遇しすぎじゃない?
女児人気だとつむぎやサクラも人気あるイメージなんですけど、ひまみつに比べると扱いが……。
あと、カルスタとおとめちゃんはソロ曲がないままなのもモヤる。ひまみつはあんなに曲数あるのに!?
主人公だけプッシュすりゃいいってもんじゃないでしょ。
アイプリバースではドリームランクを上げるとひまみつのバズリウムコーデがもらえるんですけど、これもずっとひまみつ(ピンクと青)ばかりで変わり映えしない。
リング1弾におけるじゅりえるのように、弾ごとにもう1組ピックアップされてるユニットがあるんだから、その子達の色違いとかでもよかったんじゃないの……と思います。
ライバルの存在がふんわりしすぎかも
プリパラのドレシとか、プリチャンのメルティックのような、初期からいる対抗チームがいないのって異色では?
カルスタは先輩ポジで対等なライバル感ない&2期は終盤まで出番がない。
チィは成長物語は良かったけど、一人で完結しすぎて“ひまみつ”のライバル感薄い。作中でライバル認定されていたのもつむぎから。
じゅりえるやすばおとは2期からの登場なので後輩感が強い。
ライバル好きなので物足りないだけかもしれないけど、やっぱりもっとみんなに見せ場と強敵感ほしかった。
普段はどれだけ仲良しでも身内感あってもいいので。
チームの人数差が活かしきれてない
アイプリって基本的にはソロかデュオの認識でいいんでしょうか。
1年目のシークレットフレンズは3人、カルテットスターは4人、残ったチィはソロ。
2年目は基本的に2人チームですが、カルスタだけは4人のまま。
この人数差が作劇に活きていたらもっと面白かったのにな……と思います。
チィは2年目でデュオを組むことで、己の限界に向き合う描写があったので、そういうのが他のチームでも見てみたかったです。
とくに、シークレットフレンズがプリティーシリーズにおいて基本である3人チームなのに、臨時ユニット感あってもったいないな〜と感じました。
それなら1年目から原則2人ユニットで展開して、ひまりとみつきのコンビで固定orひまり&つむぎ、みつき&リングでライバルの構図、の方が収まりが良かったのでは。
あと、アイプリにチームごとの人数差は関係ないとはいえ、強いチームとされるカルスタだけ4人組なのは……強者が4人も集まればそりゃ華やかですが、それならひまり達主人公サイドも4人チームを組んで対抗するべきでは? なんとなくフェアじゃない気がする。
一時的にひまり、みつき、つむぎ、チィで組む……なんて展開も見てみたかったです。
2年目で“男子アイプリ”を出したのは英断
アイドル×プリンセスという女児の好きな物を詰め込んだテーマだからこそ、男の子&ボーイッシュ系コーデの実装は意義があったと思います。
“かわいい”に興味を示さない女児でも興味を持ってもらえるような選択肢になりうるからです。
すばるのキャラ造形も、女児向けアニメを見る男児が共感できるよう様々な配慮がなされていたと思います。
男子だからとメイク描写をカットしない、呼び方も“アイプリ(=アイドルプリンセス)”のまま、というのもGood。
実際、ゲームセンターに行くと、興味深そうに筐体を見ていたり、姉妹と一緒に遊んでいる男児も見かけます。
最近は子にジェンダーの押しつけをしないよう教育しているご家庭も増えてるみたいだし、そのへんの実情も踏まえているのだと思います。
多様性&少子化の時代に女児向けとしてやっていくにあたって、こうした柔軟性はプリティーシリーズの強みといえるでしょう。
“女児向けっぽいものが好きなすべての子どもたちに門戸を開く”のがシリーズ10周年を経た答えなのかもしれない。
ゲーム
『ひみつのアイプリ』は1プレイの満足度が高い
百円玉1枚で始められる点は良心的。
横長画面&フルライブで、アニメCGのきらびやかさをそのまま筐体でも味わえるつくり。
キラキラのキャラカードをコレクションする、という歴代にはない新しい楽しみ方を開拓したのも、ひみプリの良さだと思います。
女児の流行をしっかり押さえ、人気のキャラクターやタレントと積極的にコラボをしていくのも、子どもの人気が高い理由なのかもしれません。アイカツやラブベリなど、世代の違う他所の類似コンテンツとコラボを実現したのには驚きました。どちらも通ってきているので、私としても嬉しいコラボでした。
また、コンテストやマイキャラフェス等のバースとの連動要素でコーデやマイキャラパーツが増えるため、バースがメインであっても遊ぶメリットがあるのはありがたいです。
『アイプリバース』は今後のアプデに期待
ゲームシステムが虚無すぎる。
フルライブできない、100円あたりの旨みが少ない。3人以上のライブができない。
でも良いところもある。
パシャリングした画像をDLできる(プリマジは全身画像しかDLできない)、ルーレット式とはいえある程度欲しいコーデに狙いをつけることができることなど。でもそのルーレットが当たらない。そもそも欲しいコーデに限って広場で見かけない。
散々言われてたけど、マイキャラパーツのバリエーションがアイカラーとヘアデコとメイクばかりなのどうにかしてほしい。
ヘアカラーも似たような色ばかり出しおって〜……と思ってる。プリマジのミルクティーベージュかそれに近い色の再録をずっと待ってるんですけど、白に近い色か茶髪ばかり増えてて、なかなか「これだ!」ってならない。
基本的にプリマジのモデルを使い回してるのに、髪型の再録すら少ないのなんとかならないんですか?
私のマイキャラは2人ともプリマジのマイキャラとほぼ同じ見た目にしているんですけど、これも髪型と近い髪色が再録されることに賭けた結果、運良く再録されただけで。
プリマジ以前から遊んでいる人達の大半はおそらく完全再現とまではいってないのでは。
おねがいアイプリにて、バースでもフルライブができるようアップデートが予定されているようです。2年かかってようやくまともに遊べるようになるのか……。

映画
子ども向けに振り切ってきたな、と感じました。
プリズムツアーズのように、もっとライブを見ることに特化したストーリーでも良いと思うのですが、春休み映画らしくライトなギャグテイストのストーリーが展開されていたのがアイプリらしいなって感じました。
アニメ本編もそうですが、ライブを絡めないストーリーのほうがスタッフとしては得意なのかな。
でも、プリティーシリーズはライブをしてなんぼです。だから、全体としてはちぐはぐな印象になってしまいがち。
そこは映画でも少し感じました。
でも、子どもは整合性をあまり気にしない。キラキラしたライブや、ギャグがあれば深く考えることなく反応する。これは劇場のちびっこたちの様子からしても正しいんだろうな、と感じました。アイプリのスタッフはそれをよくわかっている。
でもね~~~……。私としては、それって子どもをナメてないか? 子供騙しって言いませんか? って思ってしまう。私自身が小学校上がる頃の年齢で推理モノに目を輝かせていた可愛げのないガキだったので……意外とちびっこって背伸びしたがるし、大人が思っているより目ざといですよん。
良く言えば、多くのちびっこにとっての親しみやすさを優先しているということ。
そのかわり、背伸びしたがる子や小学校中学年以上の子はカバーできない……つまり卒業が早いコンテンツになっているな、とも感じます。だから2年で世代交代するのか……?
映画は大人のファン(大きなプリトモ)も応援含めて一緒にどうぞ、とのことですが、めちゃくちゃアウェーだったので縮こまってました。でも、エンドロールがキャストのライブで流れるものと同じ仕様で、ここはオタクが喜ぶポイントかなって思います。
おもちゃ・グッズ
とにかくコスメがかわいい!
キラキラでいい匂い。眺めているだけで笑顔になれます。

欲を言えばチィやカルスタなど、ライバルたちのモデルも出してほしかった……!
マイキャラのイメージカラーと同じコスメ使いたかったよ……。
おもちゃってこれまであんまり買ってこなかったんですけど、コスメは可愛すぎて手を出してしまいました。
小さくて軽いので、大人がコレクションアイテムとして飾るのにちょうどいいです。
マイクやスマホ型玩具のような電子機器系のおもちゃって、重いし場所を取るし電池の管理とか諸々面倒くさいうえお値段がけっこうするので、なかなか手が出ないんですよね。
コスメも「この値段出すならジルでも買ったほうがよくない?」と思って最初は踏ん切りがつかなかったのですが、セールを狙うとかなりお手頃な価格で買えました。
ただ、セーブデータを入れておくアイテムとしては使い勝手悪そう。
QR部分だけ持ち歩いている方も多いようですが、私はめんどくさくてずっとWEBセーブカードのままでした。
あと、WEBや配布のセーブカードがあるとはいえ、データ保存媒体に3000円は高い気がします。
限定マイキャラパーツも代替がきくものばかりなので、ゲームで遊ぶために買うにはちょっとコスパが良くない。
イベント・ファン層
イベント・ライブはほぼお留守番だったので、実際の様子について自分からコメントできることはないです。
傍から見ていた感じとしては、賑わっていたもののトラブルが多かったな……という印象。
アイプリワールド等運営側の不手際から、脅迫行為によるライブの中止といった運営側に落ち度がないものまで。
また、子どもに人気が出たのはもちろん、ライトな推し活層が入ってきたことで、大人のファン層も少し変わった気がします。
ちょうどアイプリと並行してキンプリが再始動したこともあって、プリマジ以前からいるファンはそちらに吸われていたような気がします。どちらもガチで追いかけている人もいましたが、アイプリから入ってきた層(親子・オタク問わず)とは少し距離があった印象です。
まとめ
10年ほどプリティーシリーズにしがみついてきたオタクとしては、アイプリは物足りない作品であったと感じます。
ただ、こうしたつくりが真剣に子どもたちとその親御さんを取り込むため意図的に設計されていることはわかるし、本当にちびっこ達に人気が出た。
これはキッズ向けコンテンツの正しい在り方だと思います。
コロナ禍もあり一時期は存続を心配されたプリティーシリーズが、アイプリで息を吹き返した。
筐体の前や映画館にはたくさんのちびっこが集まっている。
どんなにオタクに絶賛され買い支えられても辿り着けない、キッズコンテンツにとって最高の景色。
この素晴らしさに比べたら、私の「物足りない」気持ちなんて取るに足らないのかもしれない。
1年前、1期を見た時点ではこの結論に至れなかったのですが、リング編を視聴し、映画を見たことで最終的にこのように意見を固めることができました。
『おねがいアイプリ』以降もこの路線で行くとしたら、オタクとしては卒業するかもしれないけど応援はしたいなって感じです。

