バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!
『バーフバリ』――映画好きならこのタイトル(or上記のコール)くらいは聞いたことがあるんじゃなかろうか。
12/12から全国の映画館で『バーフバリ エピック4K』という特別編集版が2週間限定で上映されています。
「『バーフバリ』って何?」という方が気軽に見てみるのにもオススメだと感じたので、個人的な感想も踏まえて紹介していきます。
時代劇×アクション×ミュージカルの超大作『バーフバリ』
『バーフバリ』は、日本でも大ヒットしたインド映画『RRR』でお馴染み、S.S.ラージャマウリ監督の過去作品です。インドでは国民的な人気があります。
架空の古代王国・マヒシュマティを舞台に繰り広げられる、親子2代に渡る王位争いを描く物語。
王として生まれてきた“バーフバリ”と、王になるために生きてきた“バラーラデーヴァ”の確執が話の大筋です。(このブログを読んでいる方向けにピンポイントな布教をするなら、キンプリの法月家周りが好きな人にはピンとくるものがあるのではと思います)
ちなみに、主人公のバーフバリ親子は主演のプラバースが一人二役で演じています。
『RRR』が好きな方はもちろん、インド映画に興味がある方にはぜひ見てほしい名作です。(RRRとは内容に繋がりはありません)
上に貼った予告の通り、『バーフバリ』は二部作です。1作目が『伝説誕生』、2作目が『王の凱旋』。
続き物なので1作目から順に見ると良いですが、冒頭にあらすじがあるので2作目から見てもなんとかなります。
豪華絢爛な世界観、主人公の力強い格好良さ、サブキャラの葛藤や人間関係までじっくり描かれている丁寧さに加え、ダンスやコメディ等のエンタメ要素もたっぷり楽しめるのが魅力。
間違いなく面白い映画ではあるのですが、1作あたり2時間半以上・合わせて5時間半という長尺のため、余程の映画好きじゃないと勧めづらい。
一応、インド国外での上映向けに尺を調整した国際編集版があるのですが、それでも二部作なだけあってまぁまぁ長い。
さて、そんなバーフバリを大幅にカットし再編集したのが、『バーフバリ エピック4K』です。
『バーフバリ EPIC』とは
1作目の公開から10周年を記念して作られた特別編集版。
既存のファンはもちろん、映画館でバーフバリを見たことない人達に劇場での鑑賞体験を……という意図もあるようなので、『エピック』から観てOK!
ボリューム特盛の『バーフバリ』を1本の映画に再編集。
二作合わせて5時間半→3時間45分になっています。
劇場上映では10分間の休憩があるため、トイレが不安な方も安心。
大きなスクリーンが映える作品なので、ぜひ映画館で観ましょう。(配信や円盤があるかは現時点では不明)
また、4K対応のシアターでは4Kで上映されています。IMAX版での上映もあるよ。
1本にまとめる意義
インドではこの『バーフバリ』が成功したことによる影響か、二部作前提で作られる映画が増えたようです。近年日本にやってくる映画も続き物が増えた気がします。(『K.G.F.』『サラール』や『デーヴァラ』等)
ただ、ラージャマウリ監督自身は次の作品(『RRR』)を1本で完結させています。
二部作のメリットは、壮大なスケールの物語を描けることと、尺の都合で泣く泣くカットする場面を減らせること。
デメリットは、続編が出るまで数年待たされることと、1作目で人気が出なかったりキャストやスタッフに問題が生じて2作目の制作が危うくなったときのリスク、続き物だとわかると足が遠のく人もいることでしょうか。
『バーフバリ』も2作目が出るまでに2年ほど空いてしまいました。
「カッタッパはなぜバーフバリを殺したのか?」という作中最大の“ヒキ”で2年待たされるんですよ。私はリアルタイムで見たわけではないので当時のことはよく知らないけど、普通に考えたら待たされるのってキツいよね……。
なにより、2作目を待っている間に1作目の内容を忘れてしまったり、熱が冷めてしまうのがよくない。
そのような反省があったのか、エピックは休憩に入る際「もう2年待たなくていい」というメッセージが表示されます。
『エピック』はラージャマウリ監督自ら再編集しているだけあって、情報量の詰め方が上手い。
これはこれで洗練されているな……と感じました。次の項目で詳しく語っていきます。
本筋をしっかり追える総集編
EPIC(叙事詩)というだけあって主人公・バーフバリ親子の運命という物語の軸に絞って、直接大筋に関わらないシーンはバッサバッサとカットしています。本筋に絞って編集されているため、とにかく話がわかりやすい。
やはりエンタメ大作なだけあって話自体はシンプルなのだと気付かされました。
王位を巡る策略に嵌り命を落とした父の無念を晴らすため、25年間囚われの身である母を助けるため、そして奪われた祖国と本来の身分を取り戻すために主人公は立ち上がる。
あらすじはここまでまとめられますが、主人公のカリスマ性だけで魅せる映画なのかというとそうでもない。
国を担う女傑の過ち、王を殺した忠臣の葛藤、暴君が抱える劣等感と狡猾さ、主人公に激励され成長する王族等、多彩なキャラクターが物語と世界観をより濃密なものにしています。
実はバーフバリ初見時、インド映画に慣れてなかったのと、異国ファンタジーものがあまり得意でなかったため、1作目『伝説誕生』の時点では話についていくのが精一杯でした。続けて2作目の『王の凱旋』まで見て、ようやく話の構図を掴みました。
キャラが多いのと回想の尺が長いのが混乱の原因だったので、尺を押さえて再編集した『エピック』は初見さんにも優しいだろうな、と思います。
完全版に比べるとエンタメ性は劣るかも
『バーフバリ』の魅力は、長尺を活かした掘り下げからくる深みと壮大な世界観だと思います。
『エピック』では描写が最低限に留められているため、もっと世界観を味わいたければ完全版を見てもらうしかなさそう。
以下、個人的に気になった点です。
サブヒロイン・アヴァンティカの出番がほぼない
令和アニメ版ベルばらのロザリーみたいな端折られ方してるな……と思いました。
アヴァンティカは1作目『伝説誕生』のヒロインです。主人公・シヴドゥが恋する女戦士であり、彼がマヒシュマティ王国と囚われのデーヴァセーナを知るきっかけとなるキーパーソンでもあります。
序盤の話を引っ張るキャラのため、過去回想が増える中盤以降は出番が減ります。そもそも今作のメインヒロインは主人公の母・デーヴァセーナなので、立ち位置としてもサブヒロインです。
そのためか、『エピック』ではアヴァンティカが担っている序盤のロマンスや話の進行に関わるシーンが大胆にカットされています。
華を添えるためのシーンがほぼカットされている
とくにソングシーンのカットがわかりやすかったです。「え、あの曲ないの!?」って思うことがかなりありました。
話の進行上必要なものだけはカットされずに残っている、って感じ。
バーフバリのソングシーンはどれも華やかで豪華絢爛。それを大胆にカットすることで、ミュージカル感は薄れた気がします。キラキラ感が減ったな……と残念な気持ちはありますが、ミュージカル的なものがノイズになる人にとっては見やすいと思います。
他、ファンサービスにあたるシーンもカットされていました。ラージャマウリ監督やスディープがカメオ出演しているシーンは日本でも人気が高いのですが、ここも『エピック』では拝めなくなってました。
初めて見る『バーフバリ』におすすめ
前後編の超大作を1本にまとめた『エピック』は、初めて見る人はもちろん、もう一度物語をおさらいしたい人にもオススメできる作品です。
かなり思い切ったカット&編集がされていますが、『バーフバリ』としての美味しい部分はしっかり残っています。
度肝を抜くアクション、王家を巡る策略、重要人物達の葛藤や苦悩……物語の根幹に関わる部分はそのまま。未公開カット等で調整している部分はあると思いますが、展開や設定に変更が生じるような改変はされていません。
物語の軸が崩れないようにシーンの取捨選択を行い、カットした部分もモノローグを加えて説明を行う等、しっかり情報量を補っていました。
『完全版』を見ているなら、「どこをカットして再編集したのか?」という監督の手腕を楽しむのもまた一興だと思います。
今作から入った人も、「バーフバリって面白い!」と思っていただけたなら、ぜひ『完全版』も見てください。一気に『バーフバリ』ワールドが広がると思います。
※なお、『バーフバリ』は『国際版』というインド国外でも上映しやすい尺にまとめたバージョンも存在します。配信サービスによってはこちらの『国際版』しかなかったりするので、探す際は注意されたし。

